エンドロール

寒くなってきたので、ちょっと情緒的な文章を一発。

ご近所のケーキ屋さん「LABESS」が閉店する。

「LABESS」は椎名町駅からも要町駅からもやや行きにくい場所にある小さなケーキ屋さん。何もない街の中で、その場所だけいつもポワッと照明が当たっているような不思議な存在感のあるお店だった。

私は、建築事務所鯰組の社員として「なんてんcafe」を任されていた頃このお店の存在を知った。「なんてんcafe」でケーキを仕入れさせてもらっていたこともあり、少しお話はできる関係だった。

「LABESS」のお姉さんとは、顔見知りになってからもお互い馴れ馴れしく話さない感じが好きだった。ケーキをくださいから、お持ち帰りの時間は?まで。特別な理由がないときは、それ以上話さない。それは、わたしが「なんてんcafe」から独立して「アホウドリ」をはじめてからもそんな感じだった。

「なんてんcafe」を任される前の私は、建築の仕事を通して、ローカルな仕事を通して本当に「町と関わりたい」と思っていた。その頃はよそ者の視点で取材したり、町を歩いたりしていた。震災後の東京にとても必要なことだと感じていたりもした。

でも小さなお店を自分で切り盛りしてみて、それは思い上がりだったなと気がついた。その町に根付いて、与えられたお店やさんの役をしっかり演じる。私たちが魅力的な役を作れば作るほど、その町は素敵になっていく。

ムーミンが来る日はミムラ姉さんに。

まるちゃんが来る日はたまちゃんに。

それを知ってからますます、ケーキ屋と客になってケーキを選ぶ時間がとても好きになった。わたしとLABESSのお姉さんは、そういう役同士で話しているみたいで。

先日「LABESS」に立ち寄ったところ、「ご挨拶ができてよかったです」とお姉さんが話しかけてくれた。映画でいうとちょい役としての絡み。だけど、いつも以上の会話をしてしまって

ああ、本当に終わるんだなぁ

と思った。「寂しいけど、ケーキ買えるだけ買います」と伝えた。なるべくこの店の前を通りすがろう。

12月の「LABESS」にはエンドロールが流れている。もし、少しでも「LABESS」に関わったのであれば、エンドロールの末端に名前を連ねるチャンスだ。エキストラであっても、小さなお店の物語にぜひ関わってみてほしい。

ちなみにブログを読んだら、お姉さんは色々あった上で次のことも考えているようだった。きっとまたステキな物語になるんだろうな。私はすでに、次の作品がとても楽しみ。

https://patisserie-labess.shopinfo.jp

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